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衝動[完]
第3章 すれ違い
遠くから見守ることしか許されなかった。
校舎と言う名ではあっても、同じ屋根の下、お前と過ごせるだけでも幸せだと思っていたのに、オレは貪欲になって行った。
弥生に会いたい。
声が聞きたい。
話しがしたい。
触れたい―――。
弥生に会う度、笑いかけられる度、その想いは強くなって行く。
それは、ただ単にあの人の子だから―――等と言うレベルでは無い。
太陽のようなその存在に惹かれないわけが無かった。
ましてやあの人の子だ。 いや、弥生があの人の子でなくても……きっと惹かれていただろう。
あの人にこんな想いを抱いたことは無かった。
回りの人間を惹きつけ、巻き込んで行く力。
それが弥生にはある。
けれど、こんな想いが許される筈は無い―――。
以前と変わらず……弥生の成長を遠くから見守る。
祐は、それが唯一自分に許された役目なのだと自分に言い聞かせた。