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衝動[完]
第1章 先生
里美の熱を測った体温計が示した数字を見て、祐が問う。
「ああ、大分高いね。家の人呼ばなきゃね。家には誰か居る?」
「はい…。母が……いると思います。」
里美はそれだけ言うと、ベッドの中で苦しそうに荒い息を繰り返した。
これ以上里美に聞くのは酷だと、祐は弥生を振り返る。
「担任の先生は?誰?」
「あ……ま、松野先生。」
いきなり声をかけられた弥生はドギマギと答えた。
そんな弥生に祐は目を細める。
「そう、じゃあ、あとはいいから、帰りなさい。」
「先生、里美は大丈夫?」
「大丈夫だよ。家の人に病院に連れて行って貰った方がいいけどね。」
「そっかぁ……。」
頬を染め、ホッと息を吐いた。
強張っていた表情が漸く和らぐ。