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キズアト
第15章 挑発
「…ッ」

その沈黙で自分の推測が当たっていると確信した。

「話はもう終わりですね?」

給湯室を出ようとすると、背後から唸り声が聴こえ、振り向くと常務が包丁を構えている。

(なんでわざわざ仕舞ってあった包丁を使うんだよ!)

目につく果物ナイフを使うだろうと思っていた俺は、包丁を見た途端に挑発しすぎたことを後悔した。

咄嗟に避けようとしたがお茶をいれに来た女子社員とぶつかり、そのまま包丁を腹で受け止めるはめになる。

「キャーッ」

ああ、最期に聴くなら巴の声が良かったなぁ…
そんなことを考えているうちに視界が暗転した。


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