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いつ見きとてか 恋しかるらむ
第3章 『 抹茶 水ようかん 』

抹茶色
鮮やかではなく、明るくもなく。
少し濁りのあるような優しい緑。
その優しい緑にみずみずしさと透明感を与えるのは、水。
白餡のなめらかさと抹茶が一体化する。
そおっと掬う……。
そのたゆたうさまを見つめ、口に運ぶ。
ゆっくりと舌の上でほどけていく、溶けていく。
瞬間、甘みが広がっていく。
でも、その刹那……苦みを残して、するりと喉奥へと滑り込んでゆく。
ほろ苦いというのはこういうことだろうか。
せつなさを感じるのは、ほろ苦さ?
それとも、水ようかんのなんともたよりない舌触り……?
あつさを忘れる……清々しさがそこにある。

