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唇に媚薬
第3章 強情プリンセス

「……恋愛はできないけど、添い寝はできるわ」

「………!」

「一緒に寝よ、昔みたいに」


ドキドキする気持ちを隠して、ふいっと目を逸らして
ワザと冷たく、何でもないように答えた。

……今、危なかった。
私、背伸びして葵に近付こうとしてた。

この人、重度の寝不足で意識飛んでるんだよ。
夢だって言ってるし。
真面目に受け取っちゃ、ダメ。

大体、葵には彼女が……


「……あ……」


そうだ、同じ会社に務める彼女。
いいの?
いいわけないよね?


「ねぇ、葵……」

「サンキュ、蘭」


葵の最寄り駅まで、直通のバス乗り場。
最後尾に辿り着くと、葵は小さく笑った。


「お前、やっぱり優しいのな」

「………!」

「作らないで、等身大の自分でいろよ。
充分、いい女だから」

「………っ」

「……なんて
本当は、誰にも教えたくねぇけどな」

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