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誘惑のサンタクロース
第1章 ☆
「さっむ・・・」
今日も誰もいない夜の公園で一人、
ベンチに座り、膝を抱えて空を見上げる。
何度ここに逃げてきただろう。
ため息を吐くだけで、煙みたいな白い息に変わる。
その白い息は一瞬だけわたしの視界を真っ白にして
すぐに消えては今まで見ていた景色が
またわたしの前に広がるだけ。
ここに来たからって、なにも変わるわけじゃない。
白い息みたいに
一瞬だけ周りを見えなくさせてくれるだけ。
それだけでもいい、
ここに来れば
一瞬だけでも世界が変わる気がするから。