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誘惑のサンタクロース
第2章 ☆☆
「黒ちゃん、おれには願い事
叶えてあげられないかな?」
お兄さんのほうを見ると
すごく真面目な顔をしていた。
真剣に聞いている。
願い事と言われても、
パパとママのことを言ってもしょうがないし、
なにも思い浮かばない。
なにも言わず黙っていると
お兄さんが続けて言ってきた。
「クリスマス、なにか予定ある?」
別にない。
今年は家族でパーティーもしないだろう。
会社の人ともしないだろうし、
友達もみんな、彼氏や家族と過ごすと言っていた。
完全に一人ぼっちだった。
「なにも予定、ないです」
わたしがそう言うと、お兄さんは少し笑った。