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あの店に彼がいるそうです
第4章 超絶マッハでヤバい状況です
「どういうことでしょう、我円」
満月の色をした髪を撫でつけ、彼は気高く唇を持ち上げた。
「可愛がっているとお聞きしましたよ? 新入りの宮内瑞希を」
シエラのホストも反応する。
類沢は目を瞑った。
わかってはいた。
いつかはこうなることを。
まさか、それで瑞希が攫われるなんて予想は及ばなかったが。
篠田が足音を鳴らしながら近づいて来る。
ポンと肩に手を置いた。
「お前のせいじゃない、雅」
「春哉……」
「だが、責任はお前にかかる」
そのとおりだ。
「追うよ」
「あのマイクにはGPSを仕込んであるからな。シエラに戻れば場所を特定出来る」
心強いチーフだ。
「オレらも探させてください」
千夏達が進み出る。
「紫苑の運転テクは凄いよー?」
雛谷がニィッと笑う。
「やれやれやれ。伴、車を出して来なさい」
「了解致しました、父さん」
「人前ですよ?」
「はい、我円様」
この場にいる全員が協力すると示してくる。
「爺さん、バイクまだここにあったっけ?」
「無論じゃ。空牙のものは手入れをしとったからの」
些かひるむ。
なぜ、ここまで……
「類沢、指令を」
篠田が軽く小突く。
―今は主導権は譲ったしな―
類沢は顔が緩むのを留めた。
やはり、二回目の拾い主がずっとマシだ。
時計を見ると、時刻は朝4時。
だが、誰一人として眠気など見せなかった。
類沢は全員を見渡しながら声を張り上げる。
「常時篠田が誘拐犯の位置をメールで知らせる。開店時間までに瑞希を取り戻すよ。客を待たすな、いいな!」
口々に賛同の叫びが上がる。
篠田と目配せし、類沢の車で急いでシエラに向かった。
その現場を、影で見ていた青年がいる。
虚ろな目で。
「……雅さん」
彼は闇に紛れて消えた。
満月の色をした髪を撫でつけ、彼は気高く唇を持ち上げた。
「可愛がっているとお聞きしましたよ? 新入りの宮内瑞希を」
シエラのホストも反応する。
類沢は目を瞑った。
わかってはいた。
いつかはこうなることを。
まさか、それで瑞希が攫われるなんて予想は及ばなかったが。
篠田が足音を鳴らしながら近づいて来る。
ポンと肩に手を置いた。
「お前のせいじゃない、雅」
「春哉……」
「だが、責任はお前にかかる」
そのとおりだ。
「追うよ」
「あのマイクにはGPSを仕込んであるからな。シエラに戻れば場所を特定出来る」
心強いチーフだ。
「オレらも探させてください」
千夏達が進み出る。
「紫苑の運転テクは凄いよー?」
雛谷がニィッと笑う。
「やれやれやれ。伴、車を出して来なさい」
「了解致しました、父さん」
「人前ですよ?」
「はい、我円様」
この場にいる全員が協力すると示してくる。
「爺さん、バイクまだここにあったっけ?」
「無論じゃ。空牙のものは手入れをしとったからの」
些かひるむ。
なぜ、ここまで……
「類沢、指令を」
篠田が軽く小突く。
―今は主導権は譲ったしな―
類沢は顔が緩むのを留めた。
やはり、二回目の拾い主がずっとマシだ。
時計を見ると、時刻は朝4時。
だが、誰一人として眠気など見せなかった。
類沢は全員を見渡しながら声を張り上げる。
「常時篠田が誘拐犯の位置をメールで知らせる。開店時間までに瑞希を取り戻すよ。客を待たすな、いいな!」
口々に賛同の叫びが上がる。
篠田と目配せし、類沢の車で急いでシエラに向かった。
その現場を、影で見ていた青年がいる。
虚ろな目で。
「……雅さん」
彼は闇に紛れて消えた。