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叶わないならせめて、手に入らないならいっそ
第7章 重く、纏わりついて、絡みつく
若葉、こっちに来い。
声をかけに来い。

だが、若葉は凍り付いたように動かない。

なぜ?
やっぱり、俺のことが嫌いだから?

若葉は単純に家に帰ろうと思って下駄箱にやってきたんだ。
そこで思わず俺に遭遇してしまったから、どうしていいかわからなくて固まっているのかもしれない。

――俺がここをどかないと、若葉も帰れないのか。

「傘、一緒に入るー?」

すぐ近くから聴こえてきた女子の声に、俺は返事をする。

「いいよ」

安心しろ、若葉。
俺はもうおまえの傘なんか必要としていない。

だから、怯えるな。
もう俺をそんな目で見るな。
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