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叶わないならせめて、手に入らないならいっそ
第8章 泡のようにはじけて
そうだ、女の子を好きになれば楽になれる。
誰にも後ろ指を指されないし、隠そうと努力しなくてもいい。
こんな苦しい想いもしなくて済む。

もう嫌だ。
しゅーちゃんを想って泣くのも、絶望するのも。

苺香の顔が近づいてくる。

俺は逃げなかった。
止めようともしなかった。

唇に柔らかいものが触れる。
甘くていい匂いがした。

気持ちいいと思った。
奪い合うような乱暴なキスじゃなくて、労るような優しさに、心の強張りが解けていくような気がした。
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