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叶わないならせめて、手に入らないならいっそ
第8章 泡のようにはじけて
「探しに行ってくる」

俺はすぐに立ち上がった。

「マイカも行く」

「女の子が外出るのは危ないよ。電車とかバスももう走ってないし」

「むー」

苺香が頬を膨らませる。
俺は安心させるように笑ってみせた。

「ここにいて。ちゃんと連絡するから。あ、スウェット借りたまま行ってもいい?」

「いーけど。絶対、返しにきてよ」

「ありがとう、苺香」

ドアを開けると外は大雨だった。
人気もなく、ぽっかりと濡れた闇が口を開けている。

俺はひとり、その中に飛び込んで行った。
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