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叶わないならせめて、手に入らないならいっそ
第10章 虹が笑う
しゅーちゃんは心配そうにこっちを見下ろしてくる。
「嘘じゃないんだよな?」
俺はぶんぶんを首を振る。
「本当に俺のこと好きか?」
今度は勢いよく頷いた。
「マジかよ……」
しゅーちゃんは片手で顔を覆った。
「やばい、口がにやける」
そう言ってそっぽを向いてしまう。
川原を渡ってきた風が、しゅーちゃんの濡れた前髪を揺らす。
生まれたばかりの太陽が、重く垂れ込めていた雲を引き裂き、澄んだ空気が広がっていく。