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藤の舞
第13章 買い物

「ところで何本?
まだ山にしてないから、特別にバラ売りしてあげるよ。」

「あ、あの、大きいのを一本…です。」

先生のおかしな注目メモをそのまま読み上げた。

「一本だけかい?
それなら特別太くて長いのを選ばなきゃ…
看護婦さんも一緒に探して…」

箱の脇に胡座をかくおじいさんの隣に正座した。

ン…

股縄が最高にキツくなり、何とか荒い呼吸くらいの声に治まった。

箱から胡瓜を出して、大きめなのを寄り分けていく。
おじいさんは、それ以外のものを篭に山にしていった。

「これでいいです。」

まだ箱に半分くらい残っていたけど、とりあえず大きめのものを選んだ。

「ダメだよ看護婦さん、妥協しちゃ、
先生がお使いになるんだ、一番長くて太いのを選ばなきゃ…」

おじいさんが箱を漁って、もう一本選ぶ。

「どっちが大きいか比べなきゃだな。」

クルッとこちらを振り向いたおじいさんの目付きが、
ギラッとしてるような気がして、
後ずさりした。


トンっ…

肩を軽く押されてバランスを崩し、私は後ろに手をついて仰け反ってしまう。
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