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藤の舞
第8章 痒み
ポォーン

『二番でお待ちの方、診察室へどうぞ』

僕の前には赤いファイルが置かれている。予約外の印だ。

内容は一切見ない。
誰が来るのか検討をつけて楽しむ。

コンコン…

「どうぞ」

ふふん…予想通りだ。
さて、突然来た理由をなんと言うのだろう。

「どうしました?」

「その…痒みが酷くなった気がして…」

「そうですか…昨日話していたようになってしまいましたね。
菌も必死なんです。
繁殖することはないですから安心してください。」

本当に痒みでしょうかね…疼いているんじゃないですか?

内心は秘めておいて、さも心配そうに言う。

まあ…来やすいように仕向けてあったし…っクク

「ところで、ご主人にはsexを控えなければならない事は話されましたか?」

こっちの思う通りに動いているか堂々と確認できる。

「いいえ…昨日はゆっくり話す間もなくて…」

「そうですか、あまり宜しくないですね。

男は拒否されることに弱いんですよ。
誘われてから、断って疑われてしまってから剃毛が発見されるなんてなったら最悪のパターンですよ。」

「はい…」

獲物が表面的な返事をしたのがわかる。

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