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Love Emotion
第10章 穏やかな日々のなかで
*
「千佳、どっか出掛けようよ」
お互いの休みが重なり、前日から部屋に泊まっていた慶がデートに誘ってくれたが、私には行かなければならない所があった。
「ごめん、今日は」
「あ、もう予定あった?」
「…」
私は思わず口をつぐんだ。
今日は施設に行ってお母さんと会う日で、少し気が張っている。
慶は軽い気持ちで予定を聞いてきただけで、私も「うん、ちょっと」と言葉を濁せば平和に終わる。
だけど、緊張したままの心は刺々しくなっていて、些細なことにも感情的になる。
「千佳?」
黙った私に、慶が心配そうな声音で呼び掛ける。