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第11章 理由

「…少し前に、結婚したの。千佳ちゃんのことも話した上で…。それを、伝えたくて」
結婚。
まさか、それを言うためだけに私を捜していたと言うのか。
「…そんなことのために？」
私が少しつっけんどんに訊くと、お母さんは「うん」と頷いた。
「千佳ちゃんはもう成人しているし、もしかしたら私をずっと恨んでいるかもしれないから、そんなことを言う必要もなかったのかもしれない。でも、私はこのまま貴女に謝りもせず、新しい生活を始めるなんて出来なかった」
勝手よね、とお母さんは自嘲気味に笑った。