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第1章 恋の仕方を忘れた女

私にはお父さんがいない。
お母さんいわく、結婚はしたけどものの数ヵ月で別れたらしい。
離婚後に私がお腹にいることが判ったが、それがお父さんと復縁するきっかけになることはなく、お母さんはシングルマザーとなった。
そんな事情からお父さんはいなかったが、私はお母さんとそれなりに幸せに暮らしていた。
だが、小学校に上がって数年経ったある日、彼氏だと言ってお母さんが連れてきた男と暮らし始めてから、生活は一変した。
最初はそこそこ愛想の良かった男は次第に本性を見せ始め、働きもしないくせに口を開けば金か酒、もしくはギャンブルのことしか言わないようになった。
お金を渡さないと暴れるので、お母さんは働いてはそいつに金を渡し続けていた。