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先生、早く縛って
第21章 鬼畜王子
上の方の蔵書は、一体いつ頃のものなのか……
俺が近くの棚に手を伸ばしかけた、その時。
背後でガチャリ……という音がした。
「捕まえちゃった……桜井くんのコト」
振り向くと、俺をここに呼び出した〝ミドリ先輩〟が書庫のドアに鍵を掛けたところだった。
悪戯っぽく笑いかけながら、鍵穴から抜いた古めかしい大きな鉄製の鍵を意味ありげにヒラヒラと揺らす先輩……
この部屋は完全な密室となっていた。
捕まえた、って……どういう意味だ?
清純そうな印象の……セミロングの艶やかな髪から仄かにただよう花のような香りが俺の心を落ち着かなくさせる。
それは、この書庫の秩序と伝統の空気を確かに乱していた。