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先生、早く縛って
第29章 つなぐ想い
「結衣ちゃんは進路の希望はまだ無いんだ? そっかぁ……でも焦ったらダメだからね。自分自身を見つめ直せば自然と何かが浮かんでくるかもしれないし……あ、あと信頼できる大人にちゃんと相談することも大事だよ。一人で悩まないこと……わかった?」
「はいっ……」
頼もしい石塚さんの言葉……いろいろ迷いがいっぱいの私にとって、それだけでも来てよかったっていう気持ちになった。
「俺ね……ここは気に入ってるんだけど、やっぱり実家を継ごうかと思ってるんだよ。それと……あぁ、今日は俺のことはいいや」
水気を取った私の髪をクシで整えながら、真剣な顔になる石塚さんにドキッとする。
「今日は結衣ちゃんにどうしても話しておきたいことがあって……一海のことで」
やっぱり……先生の話をするために石塚さんは私を呼んだんだから。
私はドキドキと不安をなるべく隠したまま黙って頷いた。
「結衣ちゃんは、凛の名前って耳にしたことあるのかな……」