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Love adventure
第21章 決心
**
あの夜、智也に幾度も求められ、烈しく抱かれたほなみは、無意識のうちに西本祐樹の名前を呟いてしまったらしい。
智也に組み敷かれ、静かに追求された。
「今……誰かの名前を呼んだだろ?」
「……っ」
頭の中が真っ白になり唇が震える。
「様子がおかしいと思ったが……他の男の事を考えていたから……なのか?」
智也は、妻の手首を物凄い力でつかんだ。
「……何とか言ってくれよ」
ほなみの耳元で聞こえるのは、彼に似つかわしくない、悲壮な響きの弱々しい声だ。
このままただ時間が過ぎ、彼がこの問題を忘れてくれるのを待つくらいしか、やり過ごす方法を思いつけない。
ふたりだけの寝室に時計の秒針がやけに大きく響く中、ほなみは頭の中をフル回転させ考えていた。
(正直に事を暴露したところで、誰も幸せにならない)
――今、何とかこの場を凌がなければ。
唐突に、あぐりが酔った時の恒例の長い説教を思い出した。
『女はね、生まれた時から女優なの。
本物の女優になるか、女優になる事を捨ててまっ正直に生きるか、それは自分が選ぶのよ。
"私は正直に生きる"……それも良いかも知れないわよ。
でもさあ~!それで何か良い事あんの?上手くやる為に演じる事が人生の総てよ。
良いとか悪いとかの問題じゃなくて~心の中は誰にも縛れないの。自分自身でさえもねっ!
甘い夢を見て、憎い敵と戦って、表では涼しい風に振る舞うって、女にしか出来ない事よ?
……昨日まで何もなくても、今日も変わらない保証は無いんだからね?
いわば毎日は冒険よっ!
恋や愛なくしては、人生送れないわよ――!
そう!私達は、
"Love adventure"
なのよ――!』
今まで五十回以上は聞いたであろう言葉を頭の中で繰り返し、ほなみは気持ちを固めた。
あの夜、智也に幾度も求められ、烈しく抱かれたほなみは、無意識のうちに西本祐樹の名前を呟いてしまったらしい。
智也に組み敷かれ、静かに追求された。
「今……誰かの名前を呼んだだろ?」
「……っ」
頭の中が真っ白になり唇が震える。
「様子がおかしいと思ったが……他の男の事を考えていたから……なのか?」
智也は、妻の手首を物凄い力でつかんだ。
「……何とか言ってくれよ」
ほなみの耳元で聞こえるのは、彼に似つかわしくない、悲壮な響きの弱々しい声だ。
このままただ時間が過ぎ、彼がこの問題を忘れてくれるのを待つくらいしか、やり過ごす方法を思いつけない。
ふたりだけの寝室に時計の秒針がやけに大きく響く中、ほなみは頭の中をフル回転させ考えていた。
(正直に事を暴露したところで、誰も幸せにならない)
――今、何とかこの場を凌がなければ。
唐突に、あぐりが酔った時の恒例の長い説教を思い出した。
『女はね、生まれた時から女優なの。
本物の女優になるか、女優になる事を捨ててまっ正直に生きるか、それは自分が選ぶのよ。
"私は正直に生きる"……それも良いかも知れないわよ。
でもさあ~!それで何か良い事あんの?上手くやる為に演じる事が人生の総てよ。
良いとか悪いとかの問題じゃなくて~心の中は誰にも縛れないの。自分自身でさえもねっ!
甘い夢を見て、憎い敵と戦って、表では涼しい風に振る舞うって、女にしか出来ない事よ?
……昨日まで何もなくても、今日も変わらない保証は無いんだからね?
いわば毎日は冒険よっ!
恋や愛なくしては、人生送れないわよ――!
そう!私達は、
"Love adventure"
なのよ――!』
今まで五十回以上は聞いたであろう言葉を頭の中で繰り返し、ほなみは気持ちを固めた。