この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
Love adventure
第22章 答えはないのに
 ほなみは、ふと時計を見る。
 
(そろそろ行かなくちゃ)

 首を絞めあい、口にマカロンを突っ込みあい睨み合う三人に挨拶をし、地獄絵図と化したロビーから脱出すると、中庭の奥にある池に向かった。
 池の側に佇み、呼んでみる。

「主さま?……こんにちは。お久しぶりです、ほなみです。」

 しん、としていた池に波紋が出来て、大きな白い鯉が口をぱくぱくさせてヌッと顔を出した。
 この池の主は、決まってこの時間に現れる。
 ほなみは、しゃがんで語りかける。

「……何もかも、見てきたんでしょ?智也が今まで何をしたのかも……私……どうしたら良い?」

 主様は、ちゃぷんと音を立て、また水底へ入って行った。
 池の底を、暫く見守り主様が出てくるのを待っていたが、どうやら、もう上がってくる様子はないようだ。
 ほなみは、ゆっくりと池から顔を上げ、空を仰いだ。
 幼かった頃は、問いかければ誰かが答えを返してくれたような気がする。
 今では何かを訊ねたとして、答えは誰からも返ってはこない――
 私が大人になってしまったから?

 今でも迷ったり、戸惑ったりする事ばかりだというのに。
 自分見失うほどに焦がれる恋を知ってしまって、どうしたらいいのかわからないのに。
 でも……誰に聞いても多分正確はない――

「――私が決める、のね……」

 ほなみは、微かに笑って立ち上がると、池に背を向けて歩き出した。
 もう、泣いて誰かに答えを求めては居られない。
 分かるのは、ただひとつの事しかなかった。




――どうしようもなく、西君が好き……



/814ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ