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Love adventure
第22章 答えはないのに
ほなみは、ふと時計を見る。
(そろそろ行かなくちゃ)
首を絞めあい、口にマカロンを突っ込みあい睨み合う三人に挨拶をし、地獄絵図と化したロビーから脱出すると、中庭の奥にある池に向かった。
池の側に佇み、呼んでみる。
「主さま?……こんにちは。お久しぶりです、ほなみです。」
しん、としていた池に波紋が出来て、大きな白い鯉が口をぱくぱくさせてヌッと顔を出した。
この池の主は、決まってこの時間に現れる。
ほなみは、しゃがんで語りかける。
「……何もかも、見てきたんでしょ?智也が今まで何をしたのかも……私……どうしたら良い?」
主様は、ちゃぷんと音を立て、また水底へ入って行った。
池の底を、暫く見守り主様が出てくるのを待っていたが、どうやら、もう上がってくる様子はないようだ。
ほなみは、ゆっくりと池から顔を上げ、空を仰いだ。
幼かった頃は、問いかければ誰かが答えを返してくれたような気がする。
今では何かを訊ねたとして、答えは誰からも返ってはこない――
私が大人になってしまったから?
今でも迷ったり、戸惑ったりする事ばかりだというのに。
自分見失うほどに焦がれる恋を知ってしまって、どうしたらいいのかわからないのに。
でも……誰に聞いても多分正確はない――
「――私が決める、のね……」
ほなみは、微かに笑って立ち上がると、池に背を向けて歩き出した。
もう、泣いて誰かに答えを求めては居られない。
分かるのは、ただひとつの事しかなかった。
――どうしようもなく、西君が好き……
(そろそろ行かなくちゃ)
首を絞めあい、口にマカロンを突っ込みあい睨み合う三人に挨拶をし、地獄絵図と化したロビーから脱出すると、中庭の奥にある池に向かった。
池の側に佇み、呼んでみる。
「主さま?……こんにちは。お久しぶりです、ほなみです。」
しん、としていた池に波紋が出来て、大きな白い鯉が口をぱくぱくさせてヌッと顔を出した。
この池の主は、決まってこの時間に現れる。
ほなみは、しゃがんで語りかける。
「……何もかも、見てきたんでしょ?智也が今まで何をしたのかも……私……どうしたら良い?」
主様は、ちゃぷんと音を立て、また水底へ入って行った。
池の底を、暫く見守り主様が出てくるのを待っていたが、どうやら、もう上がってくる様子はないようだ。
ほなみは、ゆっくりと池から顔を上げ、空を仰いだ。
幼かった頃は、問いかければ誰かが答えを返してくれたような気がする。
今では何かを訊ねたとして、答えは誰からも返ってはこない――
私が大人になってしまったから?
今でも迷ったり、戸惑ったりする事ばかりだというのに。
自分見失うほどに焦がれる恋を知ってしまって、どうしたらいいのかわからないのに。
でも……誰に聞いても多分正確はない――
「――私が決める、のね……」
ほなみは、微かに笑って立ち上がると、池に背を向けて歩き出した。
もう、泣いて誰かに答えを求めては居られない。
分かるのは、ただひとつの事しかなかった。
――どうしようもなく、西君が好き……