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Love adventure
第44章 焼けるように愛しい
「ハハハハ……楽しかった――!
 あの子たち一体なんなの?仲良過ぎなんだけど……」
「……そういう意味での仲良しじゃないから安心して?」
「――本当?あーーよかった……
 綾波と三広君のアレを見ちゃったからさ……
 男子同士で仲いい人達が全部怪しく見えるのよ!」
「ハハハハ」

 秋葉原を散策し、カラオケで騒いだあと、亮介と三広と別れた。
 野村があぐりをマンションに送って行く最中、ふたりは肩を寄せ合い歩いている。

「もうトラウマになりそうよ!綾波のアレさ!
『……俺は両刀なんだ』
 ――いやあ――んっ……街行く男を見る目が変わっちゃうわよ!あの人もこの人もそうなのかしら!?て!」

 微笑する野村の顔を覗き込み、あぐりは恐る恐る訊ねた。

「ねえ……あなたも、実はどっちもイケる!とかじゃないでしょうね?」
「ぷっ!
 ……俺はあぐりしか見てないよ」

 顔色も変えずにさらっと言われ、あぐりは照れてしまい、俯いた。

 ――この人は、何故こんな台詞を平然と言えるのだろうか。
 芸能人だから――?

 いや、同じ芸能人でもミュージシャンでも色んなタイプがいる。
 稲川も、あぐりを照れさせる言葉をさらりと言うが、彼のはまた意味合いが違う。
 クレッシェンドのメンバーは、皆それぞれ個性が違うし、三広などは女慣れをしている様には到底見えない。
 あぐりは、野村の隣を歩きながら、稲川の事を考えた。
 野村と身体を重ねてしまって、何でもない顔で彼に会えない、と思ったあぐりは、稲川にその事を告白した。
 電話の向こうで彼は一瞬息を呑んだが、一言こう返しただけだった。

『――そう……妬けるけど……
 俺にはあぐりを縛る権利はないよ……』





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