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第59章 奪還作戦

｢ほなみさん。悪い事は言わない。火遊びは止めにしなさい……無かった事にすれば、それでいいんだよ。智也君も君を許すだろう｣

　中野は穏やかに話しながら、じりじりと距離を詰めてくる。
　綾波は、ほなみを背中に隠すようにしながら、彼と同じ動きをし、舌打ちした。

｢こいつ……隙がない｣
｢君もね……｣

　中野も不敵に笑う。

｢中野さん……私は……智也に離婚の意思を伝えました……｣

　ほなみは、小さい声でだがはっきりと言った。
　中野は笑顔のまま、ほなみを見ていた。

｢身寄りが無くなった私を引き取ってくれた岸の家と、良くしてくれた智也には本当に感謝しています……
　私の勝手な理由ですから……慰謝料が必要なら……一生かかってでも払います｣

　ほなみは声を震わせた。