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Love adventure
第66章 Marry Me①

あぐりとは、この間西本のマンションで会ったきりだった。
あの時は、体調が悪いせいもあったのか、あぐりは抱かれる事を拒んだ。
稲川は、クレッシェンドの野村大の存在を疎ましく思った。
(あの若造が現れてから、あぐりはおかしくなったんだ……)
稲川が、スタンドマイクを持ち苛立ちを熱いシャウトにすると、スタッフやメンバー達が聞き惚れている。
「流石だね~稲川君!調子は上々かな?」
「痺れるね~」
皆、作業をしながら囁き合うが、誰も彼の胸の中にとぐろを巻く嫉妬や葛藤を知らない。
稲川は、その場で軽くストレッチをしながら、あぐりの事を考えた。
(彼女がまだ高校生の頃からおれ達は上手く楽しくやっていたんだ。
お互いの生活に決して踏み込まないというルールを守りながら……)
稲川はバンドを売り出すにあたって、会社に交換条件を出された。
それは、会長の娘との結婚――
会長の娘はBEATSのファンで、特に稲川の事を気に入っているらしい、という噂は耳にしていた。
以前から、ちらちらとそういう話を向けられてはいたが、ずっと断っていた。
何としても自分たちの、自分の力でバンドの名前を押し出したい。
半分意地になりながらがむしゃらにやって来た。
路上でも、ビラを配りながら演奏をした。
呼ばれれば何処へでも演奏をしに向かった。
場末のライブハウスの店長に騙されて、売り上げを殆ど取られてしまった事もある。
あの時は、体調が悪いせいもあったのか、あぐりは抱かれる事を拒んだ。
稲川は、クレッシェンドの野村大の存在を疎ましく思った。
(あの若造が現れてから、あぐりはおかしくなったんだ……)
稲川が、スタンドマイクを持ち苛立ちを熱いシャウトにすると、スタッフやメンバー達が聞き惚れている。
「流石だね~稲川君!調子は上々かな?」
「痺れるね~」
皆、作業をしながら囁き合うが、誰も彼の胸の中にとぐろを巻く嫉妬や葛藤を知らない。
稲川は、その場で軽くストレッチをしながら、あぐりの事を考えた。
(彼女がまだ高校生の頃からおれ達は上手く楽しくやっていたんだ。
お互いの生活に決して踏み込まないというルールを守りながら……)
稲川はバンドを売り出すにあたって、会社に交換条件を出された。
それは、会長の娘との結婚――
会長の娘はBEATSのファンで、特に稲川の事を気に入っているらしい、という噂は耳にしていた。
以前から、ちらちらとそういう話を向けられてはいたが、ずっと断っていた。
何としても自分たちの、自分の力でバンドの名前を押し出したい。
半分意地になりながらがむしゃらにやって来た。
路上でも、ビラを配りながら演奏をした。
呼ばれれば何処へでも演奏をしに向かった。
場末のライブハウスの店長に騙されて、売り上げを殆ど取られてしまった事もある。

