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Love adventure
第67章 Marry Me②

耳に残る、音と熱狂の余韻に酔っていると、稲川がバックステージからやって来て、あぐりの手を握った。
「――行くよ、あぐり」
「えっ……?ち、ちょっと!」
会場の中や、周辺にもまだファンが大勢いて、どよめきが起こる。
稲川は彼女の手を引いて駆け抜けた。
激しく車が行き交う大通りを無理矢理渡り、反対側へと走る。
すると黄色い歓声が追い掛けてきた。
稲川は軽いフットワークで行き交う人の波を掻き分けながらあぐりの手を引いて走り続けた。
ファンの姿が見えなくなった所で、あぐりは息を切らして立ち止まる。
「――ちょっ……ストップ……!
私は貴方みたいに鍛えてないのよっ?しんじゃう~」
全身で息をするあぐりを稲川はひょいと抱えた。
「これならいいかな?」
「ちょっと――!恥ずかしすぎる――!」
手足をばたつかせ暴れるあぐりの耳元に、稲川は低く囁いた。
「別れたなら……もう、家に帰らなくていいんだよな?」
「う、うん」
「なら……このまま……」
稲川はあぐりを抱いたまま、信号の色が変わっても気にする事なく、車や人を巧みに避けながら走った。
あちこちでクラクションが鳴らされる。
稲川の強引さにあぐりは目を白黒させた。
「ちょっと!無茶苦茶―!」
「だってーー早く抱き締めたいんだ!」
「――!」
クラクションの大合唱を聞きながら、中央分離帯で稲川は立ち止まり、あぐりを降ろしてキスした。
あぐりも目を瞑り、彼のキスを受け止め、溜め息を漏らし、甘い瞬間(とき)に酔いしれる。
唇を離し、額をつけ合ったまま稲川は囁いた。
「――拐って、て言っただろ?」
周囲を流れる車のライトはどこまでも続き、それはふたりを包む星空の様に美しかった。
「――行くよ、あぐり」
「えっ……?ち、ちょっと!」
会場の中や、周辺にもまだファンが大勢いて、どよめきが起こる。
稲川は彼女の手を引いて駆け抜けた。
激しく車が行き交う大通りを無理矢理渡り、反対側へと走る。
すると黄色い歓声が追い掛けてきた。
稲川は軽いフットワークで行き交う人の波を掻き分けながらあぐりの手を引いて走り続けた。
ファンの姿が見えなくなった所で、あぐりは息を切らして立ち止まる。
「――ちょっ……ストップ……!
私は貴方みたいに鍛えてないのよっ?しんじゃう~」
全身で息をするあぐりを稲川はひょいと抱えた。
「これならいいかな?」
「ちょっと――!恥ずかしすぎる――!」
手足をばたつかせ暴れるあぐりの耳元に、稲川は低く囁いた。
「別れたなら……もう、家に帰らなくていいんだよな?」
「う、うん」
「なら……このまま……」
稲川はあぐりを抱いたまま、信号の色が変わっても気にする事なく、車や人を巧みに避けながら走った。
あちこちでクラクションが鳴らされる。
稲川の強引さにあぐりは目を白黒させた。
「ちょっと!無茶苦茶―!」
「だってーー早く抱き締めたいんだ!」
「――!」
クラクションの大合唱を聞きながら、中央分離帯で稲川は立ち止まり、あぐりを降ろしてキスした。
あぐりも目を瞑り、彼のキスを受け止め、溜め息を漏らし、甘い瞬間(とき)に酔いしれる。
唇を離し、額をつけ合ったまま稲川は囁いた。
「――拐って、て言っただろ?」
周囲を流れる車のライトはどこまでも続き、それはふたりを包む星空の様に美しかった。

