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第77章 会見

｢みんな……逃げて！早く――！｣

　切迫したカナの叫びに、ほなみが顔色を変えた。

「カナちゃん?」
｢東野さん！どうしたんだ！｣

　智也が走ってドアに手を掛けると同時に、ガチャリという音と共に向こうから開いた。　カナが手を縛られ拳銃を突きつけられている。

｢逃げて……智也さんっ｣

　拳銃を突きつけているのは、黒いパーカを被った中野だった。

｢中野っ！お前、何をしているんだ！彼女を離せ！｣
｢智也さん……退いてください｣

　中野の目には、なんの感情も籠っていない。
　カナを左手で押さえつけ、拳銃を彼女のこめかみに当てる。

｢――ひっ｣

　カナは恐怖で震え、目をつむった。

｢中野さん――！｣

　ほなみが駆け寄ろうとするが、西本に止められた。

｢中野さん……何故！？｣

　中野は、銃をカナに押し当てたまま、冷たい視線をほなみの方へ向ける。
　かつて見たことのない中野の表情に、ほなみの背筋が凍った。
　中野は、ほなみの隣にいる西本を見据え、笑った。

｢これはこれは……
　死に損ないの間男さんじゃないですか……｣
｢――！？｣

　西本はほなみを庇う様に背中に隠し、中野と睨み合った。