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Love adventure
第79章 新しい息吹
「もしも……俺の子供じゃなかったら――」

 低く涼やかな声に、ほなみは思わず身を竦めた。その次に彼は何と言うのか――不安で怖くて、耳を塞ぎたい――
 思わず更に強く瞼を瞑るが、彼が発したアンサーに、ほなみは耳を疑った。




「それはどっちでもいいんだよ」
「――ど……っちでも……て」

 ほなみは瞼を開き、目の前で花の様に微笑む恋人を呆然と見上げる。
 彼の長い指がほなみの涙を拭った。

「赤ん坊がどっちの遺伝子を受け継いでるとか、関係ないよ……俺は……ほなみの全部……ほなみが抱えてるもの全部を守りたいんだ」
「――に……しくん……っ」
「まあ……子供が智也にそっくりな男の子になったとしたら――ちょっと嫌かも知れないけど~な~んて!」
「西く……」
「だ――から!もう泣かない!これって嬉しくて素敵な事だろ?」
「素敵な事――」
「そうさ!だから大丈夫なんだよ!」

 鼻息荒く、自信満々に頷く彼を、ほなみは目を丸くして見つめるる。
 彼にそう言われると、先程まで渦巻いていた不安や混乱が胸からひいていくようだった。
 彼は本心からそう思って言っているのだろう。でも、なんの根拠もないのに?大丈夫と言い切る彼は、能天気なのか――本当のバカなのか――
 ほなみは、彼の瞳の中のキラキラな輝きに魅せられながら、そんなことを思っていたが、ふと、笑いが込み上げてきてしまう。

『奴は能天気なのか、それとも本当のバカか?』

 智也もそう言っていた――






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