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Love adventure
第14章 夫の帰国①
「お馬鹿な子供達はほおって置いて、美味しいパンケーキでもいただこうか!」
浜田は、ほなみの肩をポンと軽く叩くと、ポケットから大量の鍵を出した。
「ちょっと待ってて。今開けるから……っと、どれだっけ」
三広と亮介は少し離れた所で、まだ騒いでいる。
ほなみはクスクス笑って、彼らを見ていたが、ふと壁のクレッシェンドのポスターに目を留めた。
――ピアノの前で笑って居る西本祐樹。
濃紺のスーツに細いリボンのネクタイがとても似合って、彼の佇まいをますます魅力的にしている。
初めて彼の姿を目にした瞬間のようにほなみの胸が騒いだ。
「むむっ。同じような鍵ばかりなんだよ……これか?いや違った!これか!ええっ?むーん……今度こそ!」
浜田は大量の鍵と格闘するが、傍らでほなみはポスターから目が離せない。
(――ファンとして応援すると決めたのに。そうするしかないのに――)
彼の姿、いや、彼の名前を目にしただけでも、自分の五感全て、否、それ以上の何かが彼に向かって流れ出してしまう。
ほなみは、ポスターの彼の顔を指でなぞった。
胸の奥が堪えがたく痛んで目を閉じた時、何処からか視線を感じ、ハッとして手を離した。
目の前の信号が青に変わり
『ピッポウ ピッポウ』という音と共に、歩行者達が急ぎ足で押し寄せて来る。
その集団の中に、こちらを真っすぐ見つめる目があった。
――誰なのか、ほなみにはすぐに分かった――
「……智……也……」
身体が、緊張で急速に冷たくなっていった。
浜田は、ほなみの肩をポンと軽く叩くと、ポケットから大量の鍵を出した。
「ちょっと待ってて。今開けるから……っと、どれだっけ」
三広と亮介は少し離れた所で、まだ騒いでいる。
ほなみはクスクス笑って、彼らを見ていたが、ふと壁のクレッシェンドのポスターに目を留めた。
――ピアノの前で笑って居る西本祐樹。
濃紺のスーツに細いリボンのネクタイがとても似合って、彼の佇まいをますます魅力的にしている。
初めて彼の姿を目にした瞬間のようにほなみの胸が騒いだ。
「むむっ。同じような鍵ばかりなんだよ……これか?いや違った!これか!ええっ?むーん……今度こそ!」
浜田は大量の鍵と格闘するが、傍らでほなみはポスターから目が離せない。
(――ファンとして応援すると決めたのに。そうするしかないのに――)
彼の姿、いや、彼の名前を目にしただけでも、自分の五感全て、否、それ以上の何かが彼に向かって流れ出してしまう。
ほなみは、ポスターの彼の顔を指でなぞった。
胸の奥が堪えがたく痛んで目を閉じた時、何処からか視線を感じ、ハッとして手を離した。
目の前の信号が青に変わり
『ピッポウ ピッポウ』という音と共に、歩行者達が急ぎ足で押し寄せて来る。
その集団の中に、こちらを真っすぐ見つめる目があった。
――誰なのか、ほなみにはすぐに分かった――
「……智……也……」
身体が、緊張で急速に冷たくなっていった。