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花の踊り子
第2章 開演
LIVEの興奮も冷めやらぬ数日後、仕事帰りの電車に揺られていると、ユキからメールがきた。

『私、ダンス始めてみようかな⁉︎』

こないだのLIVEで、ユキはすっかり◯◯ちゃんとダンスの虜になったらしい。
(私も◯◯ちゃんみたいに踊ってみたいと思ってたけど、1人じゃ勇気がなくて始められなかったんだよな〜。)
と思いながらメールを返信する。

『本当⁉︎ 私もやってみようかなぁ?』

『じゃぁさ、ダンススクール探してみようよ!一緒にダンスやってみようよ!』

『私たちも◯◯ちゃんみたいに踊れるようになるかな⁉︎』

『とりあえずやってみようよ!』

ユキとのメールはチャット並みにレスポンスが早い。

家に着き、コーラを飲みながら◯◯ちゃんの過去のLIVEDVDをデッキに入れ、再生ボタンを押す。

「は〜。やっぱりカッコいいなぁ〜。こうやって踊れたら気持ちいいだろうなぁ」

ダンスを始めたら運動不足解消になるし、趣味にもなるかもしれない。結婚してからというもの、なるべく家にいるよう努力していた花は、新しい事に胸をときめかせるのだった。



翌日ー

鏡の前で緩くウェーブがかかった髪にムースを揉み込んでゆく。
メイクも済ませ、準備万端だ。
花は、就業時間よりも40〜50分は早く職場の最寄駅に着くようにしていて、早く行った分、職場近くのカフェでコーヒーを飲むのを日課にしていた。
満員電車に揺られて、駅に着くと大量の人が吐き出される。
今日もお気に入りのカフェでコーヒーを注文する。
ここでコーヒーを飲むと、仕事のスイッチが入るのだ。
のんびりコーヒーを啜っていると、携帯のバイブが鳴った。

『ダンススクール見つけたよ!新宿なら、花の家からも近いよね』

(さすがユキ!仕事が早いな…)

『新宿なら私も通えると思う!なんてとこ?』

『Neoダンススクールってとこ!ちなみに今日の夜、見学の予約してもいい?』

(やはり仕事が早い…!)

『オッケー!よろしく!仕事終わったら新宿に向かうね!』

ちょっとワクワクしながら携帯をテーブルに置く。
(新しい事を始めるって、こんなにワクワクするんだっけ?)
花は久しぶりの感覚に思わず微笑むのだった。
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