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初花
第6章 肩越しの 月
穏やかに時は流れ、共に迎える 初めての夏。



薄物を着流す龍の肌は 此の季節にも
滑らかに白く絹の様で

鮮やかな瑠璃も似合うのだが
今宵の薄葡萄は とりわけ映える。








築山のしたにある湖にゆき
ふたりで 水面に映る月を観ようと 誘えば


「すこしだけ、お待ちいただけますか。」

彼は、一度 居室に戻り






そして間もなく現れた、その姿に
私は 初めての日に贈った紅珊瑚を見た。
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