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よくある恋愛モノ
第4章 嵐に呑まれて
「川本さん、ちょっとトイレ行って来るから待っててー」
「あ、うん」
「先食べちゃだめだよー」
美和は四時間目の片付けとお弁当の準備をする。
“今朝、ちょっと言い過ぎたかな……”
どれだけ相手に非があっても正義を振りかざして相手を傷つけてはいけない。
それがわかっているのが美和の優しさであり、そしてつけこまれやすい部分なのだ。
「川本さーん」
「ん、何?」
隣のクラスの男子……中学で一度同じクラスになったはずだけど……
「え、何っていうか、そっちが何の用?」
「え……」
「みーわちゃんっ! やっと僕とデートする気になったぁ?」
「は……」
一度告白してきた男子……
「おー、川本。何、今朝いきなり手紙きてたけど、どした?」
同じ科学部の男子……
「て、手紙? な……なんの……」
「えー、今朝下駄箱に入れてくれたじゃん! ら・ぶ・れ・た・あ!」
「え、僕は机の中に入ってたけど……」
「オレはロッカー」
3人の男子は困惑した表情で顔を見合わせる。
「……。で、何?」
3人の男子に一斉に聞かれ、あわてる美和。
わけがわからないのはこっちも同じだ。
「し、知らない……」
「ここまできてしらばっくれるのぉ? 恥ずかしがり屋さんだなぁ」