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よくある恋愛モノ
第9章 不安
ドサッ
家に着くと、凪はカバンを放り投げベッドに座り込んだ
「なんなんだ、あいつは……」
まさか気が付いたのか
いや、あいつはそこまで察しは良くない
“森継だな”
美和が自分の気持ちを知るとすればそのルートしかないだろう
“余計なことしやがって……”
いや、違う
遅かれ早かれ凪は自分の気持ちを伝えるつもりだった
ただ、その勇気がなかったのだ
もし拒絶されたなら……
“生きていけるか”
凪はベッドに寝転び、腕で顔を覆う
“拒絶されたら”ではない
拒絶されたのだ
そのショックで星来にあたっているだけだ
“どうせなら……どうせ同じ気持ちを味わうのなら、自分の口から伝えたかった”
「ハッ……」
“俺にも恐れるものがあったなんてな”
一人でいたのも、人を恐れていたからだ
また裏切られることを恐れて
意地を張って、虚勢を張って
「情けねーな」
こんなことで悩むなんて、女々しい奴
もうこれ以上考えまいと、目を閉じ眠りについた−−−