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よくある恋愛モノ
第10章 そして、確信
「気にするよ……好きな人ならなおさら」
その言葉を聞いた瞬間、凪の頭はフリーズした
「……」
一瞬遅れて要旨を理解すると、今度は凪が焦る番だった
「え……は?」
その驚きを上手く表現できず、美和をまじまじと見る
「好きだよ、凪がどう思ってるかは聞いてないけど」
凪にとってこの数ヶ月ずっと望んでいた言葉
そして絶対に貰えないと思っていた言葉だった
「お前……その…単純すぎないか?」
しかしその喜びを素直に表現できるほど凪は純粋ではない
「助けられて好き…になるとか、森継と変わらないだろ」
“好き”という言葉は男子高校生にはこっぱずかしく、少し言い淀む凪
「……凪のせいだから」
「は?」
予想のつかない返しが続き、凪は混乱する
「凪がっその……急にキスっ…とかするから……わかんなくなっちゃったのっ」
女子高生の“キス”も厳しいようだ
「でも……本気で嫌だと思ったから……凪に何かあったらって思ったら怖くて……それなのに、あの時1番会いたかったのは凪だったから!」
“凪、助けて。傍にいて”
来ないでほしい
そう思っていた間、心の底で叫んでいた本音
「来てくれて…安心したから……っ……怪我して…私ものすごく……っ」
「もういい」