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rena's world story★a.n.r.r.y
第15章 考えたこともない
.。.:* side Aoi *:.。.。.:**:.。.。.:**:.。.。.:*
蘭と過ごした土日が、霞んでしまうほど過去に感じる。
1週間が1時間だと錯覚する程に
出張から戻った翌週は、毎回鬼のような早さで時間が過ぎていく。
「瀬名さん、お疲れ様です」
金曜日、夜9時。
詰めに詰め込んだ最後の商談が終わり、デスクに戻ると
多くの書類を広げたまま、佐伯が俺に気付いて顔を上げた。
「朝から立て続けに……長時間大変でしたね」
「お前、何でいるんだよ。
残していいから帰れっつっただろ」
「あ、すみません。
来週使う資料をまとめてたら、意外と時間かかっちゃって」
「終わんねぇの?」
「大丈夫です、もう帰ります」
労いの言葉に優しく反応できねぇ俺にも慣れたもので
佐伯はニコニコ笑ったまま、デスクの上を片付け始めた。
その様子を横目で見てから
座らずにタブレットと手帳を置いて、代わりに煙草とライターを手に取る。
「……すげー量だな」
明日の土曜は会社に来れねぇし、終電までのあと数時間でどこまでやれることやら。
要確認と書かれた山積みの案件は、一服してから考えることにした。