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rena's world story★a.n.r.r.y
第15章 考えたこともない
何度目かの溜息を吐きつつも、いつもの笑顔に戻った蓮。
「ほんと、瀬名の脳内ってどうなってるの?」
エレベーターがフロアに着くと、お手上げ状態とでも言うように肩を竦めた。
「鈍感・残念と見せ掛けて、寛大なんだか嫉妬深いんだか」
「……はぁ?」
「冷静と情熱が紙一重というか絶妙というか……
ったく、これだから男女問わず “ 月 ” の餌食になるんだよな」
……酒に酔ってたとはいえ
姫宮の居る前で繰り広げた、互いを天体に例えるというドン引きなジョーク。
俺のどこに情熱を感じたのかも分からねぇから、スルーして入口の扉を開けたけど
「……瀬名。
やっぱりお前と彼女は “ 同じ ” だよ」
─── なぜか
妙な色気に変化した蓮の低い声で、俺は足を止めた。
「……同じ?」
「お前の立場を尊重して、潰したり阻止したりはしないけど
居ても立ってもいられないのは、愛してる証拠」
「………!」
「だから
船上で何が起きても、何かを目にしたとしても許してやれ」
俺が振り返ったその先で、腕を組んだ蓮の目が光った。
「考える前に、この言葉を思い出せ。
“ 全ての元凶は、お姫様にあり ” 」