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好きにさせて
第12章 嘘


久しぶりに見る茜は
なんや痩せてて
平田の言う通り
男ができた
幸せそうな女には…見えへんかった


「平田…来てへんよな」

「うん…」

「騙されたわ(苦笑)」

「え?」

「いや、なんでもない」

「平田くん、来るの?」

「いや、俺一人や」


「そう…あの…な、尚、車?」


「クスッ(笑)
今日は車やない。
拉致らんから心配すんな」


「そーゆー訳じゃ…」


「それから」


「?」


「今更、野崎くんとか
呼ぶなよ?
きしょく悪いから(笑)」


「あ、うん(笑)」


「寒いから熱燗くれるか?
あと、おでんな」


「はい」


なんとか普通に話せて
ホッとして
酒と肴を準備してる茜を
ゆっくりと観察すると
確かに平田の言う通り
疲れた感じや

悪い男にでも
引っかかってんちゃうかと
心配になる


それと

客もおらんのに
奥の小上がりで
何してたんか気になって
ちょっと奥に目をやると
暖簾が邪魔で
よう見えへんけど
なんや
クッションみたいなもんが見えた


「お待たせ」

「おう」


茜は
いつものように
俺に酌をし
おでんを出してくれた


「付きおうてくれんか?」

「え?」

「酒の話や(笑)
思いっきりふられてんねんから」


「あぁ…うん、ごめん(笑)」
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