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好きにさせて
第12章 嘘

えっ…


そんなわけ…ない


俺は
ほんの数秒で
茜との記憶を手繰り寄せながら
茜が言った言葉を
思い出していた


理想は年上の男

好きな男ができた

俺とは距離が…近すぎた…


そして
全てを思い出すその前に
俺は
寝室のドアを
開けていた


突然開いたドアに驚いたのか
ベットの上に座っている茜は
薄暗い中
丸い目で俺を見つめていた


「茜」


「……」


声を出さない茜の
すぐ隣
俺はベットに腰掛けて
多分
さっきまで泣いていた茜に
携帯を見せながら
優しい突っ込みを入れた


「こんな大事なこと
メールで言うな」


「……ごめん」




「ちゃんと
聞かせてくれ

これがほんまなら

茜の口から」




「尚…」



「なんや?」






「好きな人ができたなんて





私の好きな人は



尚なの」





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