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sunset~君の光になりたい
第16章 二度目のKISS
「自分が苦しさの中に居る時でも、世界は関係なく動いています……
逆に、自分が幸せな時……どこかで、苦しんでいる人も居るのです」
ペコが背中をさすってくれて、少し楽になってきたようだ。
千波は、引き続き大森の話に耳を傾け、目の奥の痛みを忘れようと目を瞑る。
「残酷で悲惨な事で溢れている世の中にも美しい事はあります……
それを見いだせる事をあなたが出来る限りは……
僕は、僕なりに素敵な物をや愛しい物を讃えて生きていくつもりです。
今日のこのライブが、あなたと何かの出会いの場所になる事を願っています」
会場から大きな拍手が起こる。
ペコは涙ぐみ、隣でしきりに鼻をかんでいた。
「あ……もう私震えが……止まったみたい」
自分の両手を眺め呟いた時、大森がステージから笑いかけてきた。
「……良くなったみたいで安心しました」
「大森さん――!ご心配おかけしました!ああ良かった!
……そういや里沙はどこへ行ったの!
サイン会を始めなくてはならないのに!」
「ペコさん大丈夫です。僕たちで出来ますから。
皆さん、一列に御並び下さい…………では始めます」
大森とメンバーは、テキパキと段取りよく指示する。
ファンもマナーよく、静かに一列に並んでいた。