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彼方
第1章 序
「どうしてですか…先輩…」



ちなみは興奮と困惑の狭間で揺れていた。



「どうしてって…それは君が望んだことだろう?」



薫はちなみの前髪をかきわけながら言う。



彼の眼は獲物を前にした猛禽のように鋭く、ちなみは恐怖を感じた。



「君はとても綺麗だよ」



薫の優雅な手のひらが、ちなみのむき出しのうなじに触れる。



彼女はその手の冷たさに震えた。



「いやっ、放してください…!」




ちなみは身じろぎするも、力強い薫に抗うことはできなかった。



「キスだけでこんなになったんだ。



顔に似合わず、ちなみちゃんはエッチな娘だな」



薫はちなみの愛液で湿った太ももを撫でながら言った。



「そんな・・・」


ちなみは恥ずかしさのあまり、手のひらで顔を覆った。



先輩って、こんな人だったの・・・?!!



爽やかで後輩思いの優しい先輩は、いったい何処へ・・・!?!



ちなみはひどく混乱していた。
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