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マスケッティア・オブリージュ ~凌辱の四美銃士~
第1章 Innocent Fantasia
 公歴二〇二年。幼王ファルルの発した万民平等宣言。そのあまりにも有名な前言にはこうある――

〝全ての市民は平等である。その地位、職業、男女の別に関わらず、この平等は犯されざる神聖不可侵なものである″

 が、その宣言が発せられた当時、時代はまだこの文言に追いついてはいなかった。

 人類は未だ疫病や貧困を解決しえず、未熟な「科学」は人々の幸福に貢献するよりは戦争をより苛烈なものとする兵器や武器を生み出すことのほうが多かった。

 四十年戦争の傷痕もまだ癒えぬ王国フランツィエとて例外ではなく、内外に乱れきった政情は腐敗を招いていた。教会は民を救わず、私利私欲のために権力にすり寄り、法院は官を売り、金持ち達は平然と弱者を食い物に出世を図る――万民平等を幼王が説いたのはそんな時代のさなかだったのである。

 しかし、世が腐敗していたのであればこそ、その宣言は輝きを放つとも言えよう。後の世の史家たちはこの時代のことを「市民の夜明け」と呼ぶ。

 これはそんな時代の変わり目に咲き乱れし花――美しき女銃士達の物語である。
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