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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第8章 新しい一歩
「俺、何か飲み物入れてくるよ」
階段を上がって、2階の角部屋に私を入れると
厚めのパーカーを脱いで、Tシャツになったユキが振り返った。
……あ、そういえば
買ったコーヒー、一口も飲まないまま……
「花壇の上に、置いてきちゃった……」
「そんな状態でカフェイン取ったらダメだろ」
「…………!」
ドアノブに手をかけて、優しく微笑むユキ。
「ホットミルクと、ホットココア」
「…………っ」
「どっちがいい?」
……止まったはずの涙が、また溢れてしまいそうで
胸がきゅうっと締め付けられて、手が震えてしまう。
「……ホットココア……」
「了解。
適当に座ってて」
ユキはもう一度ニコッと笑うと、再び階段を降りていった。