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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第10章 目撃
「わわっ、乗ります乗ります!」
宮本さんが手を離したので、閉まりかけの扉に滑り込む。
1階のボタンを押した彼以外誰も乗ってなくて、エレベーターの中で2人きりになった。
な、なんかすごく緊張する……///
「外出か?」
降下し始めると、宮本さんが私のバッグを横目で見た。
その手にも、通勤カバンが握られている。
「は、はい。
すぐ近くですけど……」
「どこ?」
「○○木工です。江東区の……」
「あぁ、家具製造の方か」
……遼くんと同じ、低くて素敵な声。
整った横顔は綺麗で、まつ毛長い。
レイヤーが入った強めのパーマ……営業職なのに大丈夫なんだろうか?
改めて、すごいなぁ沙月。
こんな超絶イケメンと付き合えるなんて……
「乗せてってやるよ」
「……へっ?」
見惚れていて、またもやボーっとしていた私。
宮本さんは右手に持った車のキーを揺らした。
「駅から遠いだろ、あの事務所」
「…………!」
「今から行く取引先の、通り道だから。
途中で降ろしてやるよ」