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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第10章 目撃
「…………」
ふと、1枚のラフスケッチに目が止まった。
まだCGにも起こしていない、走り書きのデザイン画。
……描かれているのは
レトロモダンの、木肘のシングルソファ。
「………っ」
ドクンと、大きく心臓が跳ねる。
………待って、よく見なきゃ。
だけど
これって………
「あったあった、奥に挟まってたよ。
お待たせ……」
「…………」
「蓮見ちゃん?」
納品書を差し出した山田さんが、固まる私の視線を追う。
その先にあるラフ画に気付いて、テーブルの上から手に取ると
……その後ろに、完成されたパースとCG画像が重ねられていた。
「あぁ、これね。
すごくカッコイイでしょ」
「…………!」
「シンプルだけど、機能的で実によく出来てるんだよ」
「……あ、あの、それ……っ」
「あ、あぁそっか! ごめんごめん」
驚いて声が掠れる私に気付いて、山田さんは笑いながらファイルにしまう。
「ごめんね、別会社のやつを見せるなんてご法度だよね」
「……え……!?」
「まぁ、もうすぐ製品化するから。
今最後の仕上げに入ってるんだよ」