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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第3章 8年めの片思い

火曜日、朝の8時50分。

始業時間の10分前になると、このオフィスビルには続々と社員が出勤してくる。


「……春菜、朝から何やってんの?」


各階へ昇るエレベーターを待つ、その社員達の中から

私と同い年である、同僚の沙月(さつき)が近付いてきた。


「オブジェの前で手を合わせて……寝惚けてる?」

「………」

「お~い、聞いてるの~~春菜ちゃん」


1階エントランスの中央にある、石膏で作られた会社のモニュメント。

その前で、目を閉じて祈りのポーズをしている私の頭を、沙月がポンッと軽く叩いた。


「~~~!!」


それだけで、ガンガンとひび割れるような痛みが広がる。


「~~痛っ……!
二日酔いなんだからやめてよ~~!」

「ねぇ春菜、みんな見てるよ。
憐れみの目で」

「いいの!祈りを捧げてるんだから!」

「何の為に?」

「昨夜の過ちが少しでも許されるように!」

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