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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第12章 春の嵐
「古風なことするね、春ちゃん」
洗面所から、タオルを持って戻ってくると
上着を脱いでソファに腰掛けたユキが、ポケットから1枚の紙切れを取り出す。
「突然のラブレターだったから、不覚にもちょっとドキッとしたんですけど」
「………!」
「それと同時に
秘密の呼び出しみたいで、なんかわくわくした」
“ 今夜、7時。
マンションで待ってます ”
3限の講義、学生達に書類を配る時間を利用して、クリップで止めたメモ用紙をユキに渡した。
漫画の世界のようなことを、まさか自分自身がするなんて……
ユキが真面目に講義に出てくれていて、本当に良かった。
「ごめんね、おととい携帯壊れちゃって……連絡手段が無くて」
そう謝りながらタオルを渡すと、ユキは笑いながらメモをまたポケットにしまう。
「別に直接声かけてくれればいいのに」
「……それは、ダメでしょう?」
「俺、講義終わったら研究室に行くつもりだったんだよ。
月曜の夜からメール返ってこなかったからさ」
「だ、だめ!」
「なんで?」
「なんでって……」