この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第12章 春の嵐
「……春ちゃん……?」
驚いて、心配そうに触れる瞳。
……ごめんね、ユキ。
私は結局
あの時から、時計の針を止めたまま
なにひとつとして、進んでいない。
「……ユキ……ごめんなさい……」
「………!」
「私、だめなの。
りょ、遼くんでいっぱいで……」
「…………」
「……っ ふ……
遼くんのことばっかり、考えちゃうの……」
………遼くんは
大学時代、講義に出たことなんて一度も無いって、自分でも言っていたように
デザイン室に引きこもって出てこなかったり、かと思えば外国に行ったまま数ヶ月帰ってこなかったり。
そんな自由奔放でも単位をもらえたのは、才能と実力があるからこそ。
歳の差が2つの私と遼くんは、2年間同じキャンパス内で過ごした訳だけど
その姿を見ることはほとんど無かったと言っても過言ではない。
……それでも
展示会で衝撃を受けた私は、ストーカー並みに遼くんの後ろを付いて回って
初めて会話が出来た時、 “ 変な奴 ” って代名詞をつけられたけど
変な奴から、面白い奴に変わって……
1年かけて、やっと春菜って呼んでくれるようになった。