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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第14章 救いの扉
……○○木工での一幕があった、先週の月曜。
会社に戻ってきてからも、部長に噛みつく勢いで訴えていた春菜。
相当悔しかったのか、その目は真っ赤になっていて
自分の事のように、怒っていた姿を思い出す。
「あいつ、大学の時から
暇さえあれば、俺の作品ばっかり眺めてたんだよ」
「…………」
「飽きねぇのかって聞いたら、集中してるから話しかけるなって言われるんだぜ?
俺、作った本人なのに」
“ 私ね、芹澤さんの大事なところ
膝で蹴りあげちゃったんだよ♡ ”
……手首に、芹澤に掴まれた痛々しい跡
押しつけられて、砂の付いた乱れた髪
それでも、俺に向けて満面の笑みを見せてきた春菜。
芹澤への憎悪で渦巻いていた心が、その瞬間に晴れ渡った。
“ 遼くん! ”
……名前で呼ぶなっつってんのに
犬みてぇに、俺の後を引っ付いてくるから
結局、俺も呼び慣れた名前で応えてしまう。