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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第19章 今夜だけ、許して…
“ “ 加賀谷さん ” だろ、ばかやろう。
いつまでも学生気分でいるんじゃねぇよ ”
“ おい、ボケッとするな ”
“ 道草食ってサボるんじゃねーぞ ”
……才能に優れ実力を伴う彼は、いつも自信で溢れていて
俺様な命令発言ばかりをしていた。
「……遼、く……」
“ てめぇが今ここで春菜にしたことを、俺は一生忘れない ”
“ 俺の作品を守ろうとしてくれた、お前の気持ちが嬉しかった ”
“ ちゃんと、笑顔に戻してもらってくれ。
……お前には、笑っててほしい ”
……ぶっきらぼうな口調でも、優しい言葉をかけてくれて
いつも私の幸せを願ってくれていた。
「……っ 遼くん……!」
……気丈に振る舞っていたその陰で
孤独を抱え続けて、寂しさを押し殺していた彼が
初めて私に告げた心の叫び。
涙で何も見えなくなってしまったけど
熱を私の奥深く放った遼くんを、強く抱きしめた。