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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第21章 来世の、来世で
遼くんの言葉で、ユキも顔を上げた。
心の奥から、また切なさが溢れてきてしまって
……だけど
さっきまで痛いほど感じていた、締め付けられる苦しさとは
……少し違う気がする。
「……人は、なんだってこうも揺れるんだろうな」
穏やかな表情のまま、遼くんはそう言って海を見つめた。
「何ひとつとして見えない暗闇だとしても
最良の道だと信じて、自ら選んだ方向へ進んでいるはずなのに」
「………!」
「結局寂しさに耐えられなくなって……僅かな光を探し、求めてしまう」
「………」
「そして、また立ち止まる。
本当に正しい道はどこなのか、分からなくなるから」
……波の音と連動するように、静かに話す遼くん。
最近は、ずっと悲しい顔ばかり見ていたから
なんだか胸がいっぱいで、言葉にできない。
「……だから
道に迷った時、答えを見失った時
仕事でも何でも、初心と原点に戻る事だと俺は思ってる」
「………!」
「どうせまた揺れて悩むなら…… “ 自分の想いのままに ”
最後は、それが自らを導く光になると信じて」
「………っ」
「……やっと、分かったんだ」