この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第2章 桜の木の下で
「ねぇ、聞こえてないでしょ?」
失礼な、聞こえてるよ。
さっきからこうして質問に答えてるじゃない。
って私、ちゃんと声に出てるよね?
あれ、出てない……?
「……酒飲むと、本当にそんなグデグデになるんだな」
「………!」
「いい教訓になったよ」
ちょっと笑ったような声でそう言いながら
ベンチから立ち上がった彼が、私の前に近付いてくる気配。
ま、まずい……
よく分からないけど、危ない状況だよね?
でも
体が、動かない……
「……か、帰ります……」
やっと声が出たって、自分でも分かって
急いで立ち上がった、次の瞬間
「………!」
「……あぶな……っ」
足に力が入らなくて、重力に逆らえなくて
崩れ落ちる私の体を、直前で彼が受け止めた。